黒澤の土曜日（９） 「七人の侍」

月に一度、三鷹市芸術文化センターでの黒澤映画 上映会。
先１月２０日は第９回。「七人の侍」でした。

いや～、いくら流行りモノじゃないとはいえ、こんなにＵＰが遅くなっちゃって。( ^ ^ ;ゞ

「七人の侍」は１９５４年公開。

七人の侍

• 出版社/メーカー: 東宝
• 発売日: 2002/10/25
• メディア: DVD

戦乱の続いた世。盗賊と化した野武士の群れが
農村を襲っては略奪を繰り返していた。
農民たちは知恵を出し合い、浪人を雇って守ってもらおうと
報酬となる「米」を携え、スカウトに出かける。
腕も立ち、侠気もある浪人、勘兵衛（志村喬）を見つけて頼み込み
１人また１人と個性的な浪人を集めていった…

黒澤映画の金字塔と言っていいのではないでしょうか。
私は渋谷の国際映画祭で復刻版上映を観て腰を抜かして以来、３回目です。
すべて一応スクリーンで。これは大画面で観ないと！

映画の中の、どの部分をとっても傑作。
７人の侍はもちろん、農民たちも人物設定が見事で、
本当にキャラが立っているというか、個性的です。
例えば宮口精二演じる剣の達人、久蔵や、木村功演じる修行中の勝四郎など、
類型的といえばいえなくはないけど、それはそれでリアル。あんな男たち、
いかにもいそう（実際には、見たことないけど）。
彼らがスカウトされていく序盤は、もうわくわくしちゃう。

そしてもちろん、武士とはとても思えない菊千代（三船敏郎）のキャラクターが最高！
ただの乱暴者かと思えば、農民心理のつかみ方など、ただ“自分が百姓だったから”と
いうだけではない、どこか悲しい知恵を持っていたり、かなり深いのです。

侍を雇っておきながら信用しようとはしない、それでいて、危機が迫ったら
「お侍さま～」と闇雲にすがりつく、自主とか尊厳とか、そんなモノは
まるで持ち合わせてないような農民たちと、彼らをうまいこと統率していく
選りすぐっただけのことはある侍たち、その対比が面白く、
だからこそそれがラストで観る者をノックアウトする感慨となるわけです。

休憩をはさんで、いよいよ盗賊たちとの決戦です。
それぞれ個性を発揮して戦う侍たちと、なんだかんだ言いながら
団結してきた農民たちが力を合わせ、死力を尽くして戦う。
この戦闘シーンの迫力といったらもう！！
土ぼこりにまみれ、最後には雨にまで濡れて、文字通り泥臭い、
超リアルな戦いだと思います。

監督４～５作目にあたる「わが青春に悔なし」でも驚いたのですが
その後もしばしば目にする黒澤映画の“疾走感”。
丈の高い草に囲まれた山道や何かをひた走る登場人物、という映像が
すごいんです。
この「七人の侍」では、とにかく皆が走りますから、草や木立がブレてボケる中を、
走る人物が際立って見え、スピード感は乗り物酔いしそうなほどです。

主役はもちろん三船敏郎、そして志村喬なのですが、今回３度目で観て
私の視点は最初から最後まで木村功が演じた勝四郎と一緒だったな、と
気づきました。師と仰ぐ人を見つけた時、尊敬できる剣士を見つめる時の
キラキラ輝く目、思いがけず恋を知ってしまった喜びと戸惑い、
その彼女を通じて農民の貧しい暮らしに思いを致し、何かできることを、と
考える心、戦いの間の生真面目な表情、そして戦い終えたあとの無常観……。
勝四郎は、観客のガイド役でもあったのかもしれません。

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実は、黒澤の土曜日、第１０回は、今日なのです！
でも、愚かなワタシはダブル･ブッキングしてしまい、今回は欠席。
見逃すことになる「生きものの記録」と「悪い奴ほどよく眠る」は
絶対今年中にＤＶＤで観るぞ、とここに誓って今日は別件で出かけるのです。。。

コメント 10

すご～く昔見たことがあります。
その後で、アメリカ版の「荒野の七人」を見ると、影響モロ受けまくり～！って、重さが違う、、、黒澤監督の偉大さ感じた．．．。
しばらく見ていないので、また感じ方が違うかな～。見てみたいな～。
by (2007-02-03 08:01) 

才能の前に言葉もないことはあります。
そして、何だか元気になる。
by 春分 (2007-02-03 14:23) 

すごい映画ですよね。ワタシも「七人の侍」を観てから黒澤映画にハマった記憶があります。何度観てもすごいなぁと思ってしまいます。
by (2007-02-03 16:11) 

↑５５５ｎｉｃｅ！ですね♪
私が生まれる前だ・・・
by 袋田の住職 (2007-02-03 21:15) 

七人の侍・・・外国の映画にもかなり影響を与えましたね。
by Baldhead1010 (2007-02-04 08:44) 

荒野の七人ですね、影響を与えたのは。
by (2007-02-04 12:02) 

こんばんは。
ＢＳで録画したものがどこかにあるが。。。
実はマトモに観てないという体たらく。
黒澤作品は結構観てるのに、肝心のコレをマトモに観てないなんて。。。
自分でも何だか可笑しいな。今度ちゃんと観たいけど、やっぱり大きなスクリーンで観たいですね。
by (2007-02-05 00:21) 

アメリカ映画の「荒野の七人」は「七人の侍」からできた映画ですよね。ハリウッドの名監督たちはみんな黒澤に影響されてると聞きました。すごいですね。
by nonkumi (2007-02-06 08:03) 

いい映画いい作品を観たり読んだりするのは、心の栄養剤ですね。
私も身体の栄養剤ばかりでなく、心にもちゃんと栄養あげなきゃなぁ＾＾；
by 笙野みかげ (2007-02-06 11:11) 

●あやっぴぃさん
ようこそいらっしゃいました！　登場人物が多いから、
見た時の年齢によって、誰に共感するか、変わってくるかも
しれませんね。
●plot さん、MORIHANAさん、へっぽこさん
nice! ありがとうございました♪
●春分さん
天才が本領発揮したときは、周りも幸せになれるんですね。
●cocoa051さん
第555nice! でした。ありがとうございます！GoGoGo!!で
これからもよろしくお願いします。
●住職さん
古い映画ですけど、全然古臭くないです。
●Bald さん
これを観たら、どこの国の人でも、マネしたくなると思います。
●まーさん
笑っちゃうぐらいそっくりでしたよね。
●トチオさん
これは観なきゃですよ！！　100歩譲って小さい画面でも、
迫力は感じられると思います。
●nomusanさん
自分のことのように、ちょっと自慢したくなりますよね♪
●みかげさん
映画も心の栄養ですよね～　体のほうには必要以上に
溜め込んでるんですけどねー
by ぱふ (2007-02-09 00:27)